CX and EX

CX向上とEX向上に関する
よくある疑問

Q. CX向上とEX向上の同時推進

 


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CX向上とEX向上は
同時に進めるのが効果的

Question

CX向上の活動とEX向上の活動は、どのような順番で進めたらよいでしょうか。

CXとEXは相関しない?

「よい職場体験(高いEX)は従業員のやる気を高める。
 やる気の高い従業員は顧客によりよい体験(高いCX)を提供する。
 顧客の評価が高まると、従業員はさらにやる気を高める。」


EXとCXの関係を話題にするとき、よく語られるストーリーです。

飛び抜けて高い顧客体験評価(CX)をマークしているチームの従業員体験評価(EX)を調べてみると、他のチームよりも高いことが多いのは事実です。

ところが全てのチームのデータを集めてCXとEXの相関を検証してみると、相関性はそれほど高くない(相関係数が0.4未満)、となるケースがほとんどです。

「CXやEXの向上活動は意味がないのではないか?」

そんな極端な意見が出てくることもありますが、仮に、もしそうだとするならば世界の一線企業がこぞってCXとEXの向上に励んでいるのは滑稽な事態と言えます。
やる気ある従業員が多いほうがよいのは当然ですし、そういう従業員を創造するためには福利厚生の改善や昇給、社内制度など『公式のしくみ』(=人事総務が担当する施策)の改善だけでなく、社内人脈、職場の対話の頻度、顧客との対話など『非公式のしくみ』(職場ごとに持つ文化)改善も必要です。

EXの向上がCX向上の源泉であると同時に、CX向上の取り組みが健全に機能する体制構築がEXの向上につながるという側面もあるのです。
ふたつの取り組みは同時に進められるのがもっとも効率的な方法です。

ではふたつの相関係数は低く出るのはなぜでしょうか?
これについては世界のCXやEXの専門家たちの間でも議論されていますが、取り組みレベルが浅いチームが多くある場合に、そうした結果が出ると考えています。

EX・CX向上の取り組みをしていない企業、または始めたばかりの企業では、EXが他より低くても他のチーム並みのCX評価を得る『低EX並CXチーム』や、EXは高いがCXでは他のチームと同程度という『高EX並CXチーム』が相当数存在すると考えられます。
とくにCXでの取り組みレベルが低い場合、全体の評価レベルが低いので、チームが個別の工夫やエラー由来のCX評価がEX由来のCX評価よりも目立つ状態となって、CXとEXの相関に対するノイズとなっているのです。

CX向上やEX向上の取り組みに真摯に向き合い一定レベルを超えた組織では、相関係数は高く出ます。戦略的なEXの取り組み由来のCX評価がゆらぎによるCX評価を上回るからでしょう。

CX向上とEX向上、どう立ち上げる?

CX向上とEX向上の施策は同時に実施するのが理想的とされてます。CX向上を推進するためには既存の社内の価値観や文化がボトルネックになることがありますし、EX向上が満たされてもCXがないがしろにされてはチームとしては本末転倒です。

しかしそれを企画実行する権限を持つのは経営者。
両方同士に実行できるのが最も効率的ですが、多くのケースではCX向上かEX向上、どちらか一方からのスタートになります。どちらかの向上活動で成果を出し、もう一方の取り組みの必要性を訴え、両軸での改善活動につなげてゆきます。

CXとEXの歴史をひもとけば、CX向上の取り組みで多くの企業が大成功したことを模倣して、EX向上という考え方や取り組みが生まれました。どちらかの取り組みが成功すれば「この成功をもう一方の分野でも使いましょう」という声が自然と生まれるでしょう。


  • 小さな成功

    CX向上でもEX向上でも、小さく短いスパンで成功の輪を広げてゆく進め方をオススメします。
    小さく始めれば、仮に思い通りにいかないことが発生してもリカバリしやすく早期に対応できます。成功法則を学びながら徐々に輪を大きくしてゆきましょう。
    CXならば興味を持ちそうなチームリーダーのいるチームに絞って、EXならば掌管役員が動かしやすい一部の部署でのテスト運用から始めましょう。

  • 役員の巻き込み

    取り組みが成功し、一定規模以上になると、必ず役員クラスの役職者のサポートが必要になってきます。CX・EXいずれの場合でも、企画のスタート時点から役員クラスをプロジェクトに巻き込み、後見人となってもらいましょう。

  • 環を閉じる

    CX向上もEX向上もアンケートから始まります。アンケートを収集し、分析結果をチームで共有するところまではイベントとして盛り上がりますが、優先改善項目にどう向き合って体験を向上させるというもっとも重要なパートがうやむやになりがちです。
    『声を聞く』に続けて『聞いた声を元に改善する』までがひとつのループ(環)であることを指してCXでもEXでも「環を閉じる(Close the loop)」が大事だ、という言い方をします。環を閉じる取り組みとなるようデザインしましょう。

  • 成功共有と拡大

    小さな成功事例ができたら、積極的に共有します。成功体験を共有するだけでなく、成功を踏み台にして、もう一方の取り組みへの橋渡しができます。
    CXでの成功事例は次の取り組みの輪を広げる効果が期待できます。複数のチームでCXの成果を比較できるようになれば、自然とEXの調査・向上も話題に上がってくるでしょう。
    EXでの成功事例は対象となるチームや分野の拡大につながります。EXの向上によるパフォーマンスの測定としてCXの調査へとつなげてゆきます。

  • デジタルツール

    CX向上もEX向上も、その成功・効率化を支えているのはSaaS型のデジタルツールです。比較的廉価で高機能のWebサービス、BIツールがリアルタイムに顧客の声・従業員の声を分析し、次に採るべきアクションの方向性を指し示してくれます。また、既存の顧客情報や従業員情報との連動によって合理的な経営判断が下せる環境が整ってきています。
    また、スマホやタブレットによって顧客接点の現場メンバーもリアルタイムでの状況理解・行動方針策定の恩恵に与ることができます。
    CXやEXの向上が財務的な成功に接続する背景には専用Webサービスがあることを忘れないでください。

CX向上とEX向上をどう統合する?

CX向上は顧客の声をもとに顧客接点を預かるメンバーが提供する体験を向上させる『現場主導の取り組み』。いっぽうのEX向上は従業員の声をもとに経営陣が公式・非公式のしくみを横断して体験を向上させる『経営主導の取り組み』です。

それぞれの主体者が異なるため、目指す方向の軸合わせを、あらかじめそれぞれの取り組みに埋め込んでおく工夫が必要です。

EX向上取り組みでの工夫

  • MVVと課題

    どんな戦略や戦術も、企業が掲げるミッション・ビジョン・バリュー(MVV)実現のための取り組みです。それらが曖昧な場合、まずMVVの明確化が必要です。
    EX向上は従業員の声を聞いて優先順位をつけて課題解決するという手順を追いますが、その際、抽出された課題をMVVに照らし「なぜこの取り組みを優先するのか」従業員に対するストーリーテリングできるよう準備が必要です。

  • CX向上を評価

    EX向上の取り組みの中では、評価や昇給昇格のルールが明確化され、かつ公正に実施されることが求められます。
    CX向上を安心して推進できる環境となるには、CX向上に対する取り組み姿勢や取り組み実績が売上実績など他経営指標より上位になるよう設計される必要があります。

    ※ CXの向上が売上やLTV向上につながっているというエビデンスが得られてから。また、NPSの値などCX指標そのものではなく、取り組み推進を評価するのがよいとされています。

  • 論議の場の創造

    CX向上の取り組みでは現場のメンバーが顧客の声を共有して『どのようにして顧客体験を高めるか』をチーム全員が集まって議論し、意思決定する場が必要です。こうした文化を作れないチームではCX向上に時間と労力がかかります。
    労働時間を調整しながらこうした新たな議論の時間と場を作り出すことが求められます。

  • CXベンチマーク

    EXをチーム間比較するとき、チームのパフォーマンス指標のひとつとしてCX評価を採用します。活動当初は(上にも記載の通り)相関性は高くありませんが、飛び抜けて高いCXを提供しているチームのEXの確認などに利用できます。

CX向上取り組みでの工夫

  • 顧客の声を共有

    CX向上では顧客の声を集めますが、よい評価については積極的に顧客担当者にフィードバックし、部署や店舗内で共有することでEX向上につながります。

  • MVVと課題

    顧客の声からに明らかになった課題をMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に照らし「なぜこの取り組みを優先するのか」従業員に説明します。
    メンバーが日々の活動と組織のMVVがひとつの流れとして理解できると、EX向上につながります。

  • MVVで語る

    顧客からお褒めの言葉を受け取ったとき、リーダーは単にその声を担当者や部署のみんなに伝えるのではなく、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の観点に照らして「MVVを実現してくれたケース」として語ります。上記と同じく、日々の活動と組織のMVVがひとつの流れにあること、MVVを実践する事例を知ることができることが同時に満たされ、EX向上につながります。




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